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岡本太郎新世紀 (別冊太陽 日本のこころ) | 芸術

岡本太郎新世紀 (別冊太陽 日本のこころ) 岡本太郎新世紀 (別冊太陽 日本のこころ)
別冊太陽編集部

平凡社 2011-02-23
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「アバンギャルド」「対極主義」「日本の伝統」など、岡本太郎のエスプリがほどよく凝縮されている。書名『岡本太郎新世紀』からも伺われるが、彼のアバンギャルド芸術に対する取り組みは、21世紀の芸術の方向性を示唆しているように思われる。

本書に掲載されている人類学者の中沢新一の『超核の神話』は、東日本大震災で崩れた「原子力発電の安全神話」を乗り越えるうえで、参考になるのではなかろうか。その中でも「私たちは、芸術によって、核というものを越えていくことができるのではないか。技術と芸術が大きく分かれていく分岐点に立ちもどって、科学技術がつくりだすものを包摂し乗り越えていくことが、芸術の力で可能なのではないか。これは賭けです。これからの芸術が勝利するかどうかは、わかりません。しかし、できるかもしれない。いや、勝利できると、岡本太郎はこの作品で言いたかったのだと思います。ですから、『明日の神話』は、「超核」の神話です。」というくだりは興味深い。人類はこれまでの価値観を転換させて、これまでとは違ったライフスタイルを見つけなければ「肉体は吹き飛んで、生命は消えてしまう」だろう。

ジョルジュ・バタイユの『エロスの涙』に書評を寄稿していることを本書で初めて知った。豊富な美しい図版だけでも楽しめる。この一冊で岡本太郎の魅力を堪能できる良書。

出版社
平凡社
参考サイト
中沢新一 – Wikipedia
発売日
2011年2月23日

芸術新潮 2011年 03月号 | 芸術

芸術新潮 2011年 03月号 [雑誌] 芸術新潮 2011年 03月号 [雑誌]

新潮社 2011-02-25
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生誕100年ということで購入した岡本太郎の特集誌。この雑誌の表紙には「岡本太郎を知るための100のQ&A」とある。100の問いに答えているのは岡本太郎の秘書で、後に養女となる平野敏子の甥にあたる平野暁臣、美術手帳で『後美術論』を書いていた椹木野衣、東京国立近代美術館主任研究員の大谷省吾、以上三氏である。

平野氏の言及は彼の伯母が岡本太郎の秘書であり養女であったこともあってか、プライベートなことも随所にみられて興味深い。「酒には義理がある」という太郎の言葉やお茶目な彼の性格など、岡本太郎の人柄を知ることができる。

三氏とも岡本太郎の作品にみられるジョルジュ・バタイユの影響を語っていて、そのどれもが的をえているように思える。椹木氏も述べているように《夜》や《電撃》はおそらくバタイユの思想を念頭に入れて描かれている。また、三氏とも触れていないが、太郎の「ノン」という言葉にはバタイユの「非-知(le non-savoir)」を連想させるものがある。

この特集に「影響を受けた画家はいますか?」という問いがあり、そこにはセザンヌ、ピカソ、ダリの名があがっている。そして、その影響が作品のスタイルではなく、創造の精神やメディアを通じて芸術家としてのイメージを露出していく手法であると述べられている。岡本太郎の作品を見ると、その作品の中のパーツ、特に揺らめく光みたいな呪術的な要素の色や形にはアンドレ・マッソンの影響が見られる。

アンドレ・マッソンはエロティックな作品を多く残しているし、岡本太郎が「乗り越える」と意識してたピカソにも多くのエロティックな作品がある。ピカソの一見何でもない闘牛の絵の牛には勃起した男根が描かれている。太郎が好きだった祭りはエロティックな本来イベントだし、バタイユに強い影響を受けているわりには、太郎には、エロティックな作品が少ないように思われる。もしかしたら、それらの絵は意図的に隠されていいるのかもしれない。その真相はわからないが、岡本太郎のエロティックな作品の少なさが、彼とバタイユとの繋がりを客観的に希薄にし、二人の関係があまりクローズアップされない要因の一つになっていると思う。もちろん、バタイユの秘密結社について具体的な資料が乏しいことが、このことに大きな影響を及ぼしているのだけど。

岡本太郎にエロティックな作品が少ないのは、少ないのではなく、今、目にしている彼の作品の多くが、見る人は意識していないが、または意識されることなく、エロティックな要素を含んでいるからなのだろうか。岡本太郎自身、そのことを意識し、計算して描いていたとも考えられる。そうなると、今度は、太郎の作品のほとんどがエロティックな作品ということになる。いずれにせよ、確証もなく創造の域を越えるものではない。この問いの答えは・・・。

出版社
新潮社
参考サイト
平野暁臣 – Wikipedia
参考サイト
André Masson – Wikipedia
発売日
2011年2月25日

美術手帖 2011年 03月号 | 芸術

美術手帖 2011年 03月号 [雑誌] 美術手帖 2011年 03月号 [雑誌]

美術出版社 2011-02-17
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岡本太郎:生誕100年記念特集ということで購入してみた。表紙には「明日のTAROへ名乗りを上げろ!!太郎に出会うキーワード&ガイドマップ」とあり、早速「岡本太郎ガイド&マップ」のページをめくった。

身近なところに岡本太郎の作品があったり、日本各地に彼のオブジェや絵画があったりと、このマップを見ていると岡本太郎の作品めぐりをしに足を運びたくなる。また、グッズガイドで岡本太郎の家具があることを知り、欲しい椅子があったけど、値段をみて…

こうしてページをめくっていくと「LAIBACH」のアートワークに目がとまった。おそらく、ロックが好きな人でも知る人は少ないこのバンド。何故この紙面で取り上げられているのだろうか。そんな興味をもち椹木野衣さんの『後美術論』を読んでみた。視点を変えてみると、ライバッハの活動とU2の「ZOO TV」とがこんな形で見えることに関心し、昨年がライバッハの活動30周年だったことをあらためて知らされた。

久しぶりにライバッハとU2の音源をスピーカーから流した。そして、椹木さんの著述を思い起こしながら、インターネット社会の中での芸術のあり方や活動の仕方について考えさせられた。

出版社
美術出版社
参考サイト
椹木野衣 – Wikipedia
発売日
2011年2月17日
カテゴリー: 書籍紹介 タグ: , ,

太陽の塔 : 岡本太郎 | オブジェ

1/350スケール 太陽の塔 ソフトビニール製塗装済み完成モデル 1/350スケール 太陽の塔 ソフトビニール製塗装済み完成モデル

海洋堂 2010-09-13
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生誕100年ということで最近よく目にする岡本太郎の代表的な作品の一つ。

幼少の頃、万博記念公園でよく遊んでいたし、中学のころは陸上部員としてこの敷地内にある陸上競技場のトラックを走ったりと、この「太陽の塔」は筆者にとって身近な存在だった。そして、その巨大な芸術作品にはオーラがあり、言葉にできない力を与えてくれる神の様な特別な存在だった。小学生のとき、自転車で国鉄(現JR)茨木駅から万博公園を目指して大通りを走っているときも、この神様に会えることを楽しみにしながら自転車をこいだ。この巨大な神様を身近に置きたくて写生もした。こうしていつしか、油絵画家を目指していた筆者にとってこの作品は「芸術の神様」となっていた。芸術家になることを諦め、ジョルジュ・バタイユに関して研究していた学生時代でも、この神様(岡本太郎の思想)がバタイユの思想とオーバーラップしている姿を見ていた。今でもこの太陽の塔が筆者にとって「芸術の神様」であることは変わらない。大阪の天王寺で生まれ、乳飲み子として過ごした茨木の家は1970年に開催された日本万国博覧会の関連で立ち退きになっており、物心付く前からこの神様に影響を受けていたようである。

リーマンズショックや大震災で日本人のライフスタイルが大きく変わろうとしている。「太陽の塔」の根底にある岡本太郎の思想は、今の日本人が目指すべき指標を与えてくれている様な気がする。この生誕100年を機に、再考してみようと思った。

デザイン
岡本太郎 – Wikipedia
参考サイト
太陽の塔 – Wikipedia
発表
1970年3月15日

六本木アートナイト2011 | イベント

※上記は2010年の六本木アートナイトです。

http://www.flickr.com/photos/23498965&N08/4509684571/in/photostream/

By nissy1121

Creative Commons —Attribution-ShareAlike 2.0 Generic

「六本木の街を舞台にした一夜限りのアートの饗宴」というキャッチフレーズのもとに「様々な商業施設や文化施設が集積する六本木の街に、アート作品のみならず、デザイン、音楽、映像、パフォーマンスなどを含む多様な作品を点在させて、非日常的な体験を作り出します。そして、生活の中でアートを楽しむという新しいライフスタイルを提案」している。

2009年の開催が第1回なので今回で3回目。前回の延べ鑑賞者数は70万人になったというから、すごく規模の大きいアートイベントですね。これを機会に、ビジネス一辺倒の国というイメージの日本が、心からアートも楽しめる国にイメージチェンジできるといいですね。

公式サイト
六本木アートナイト Roppongi Art Night
会場
会場一覧
会期
2011年3月26日(土)~2011年3月27日(日)
コアタイム
午後5時57(日没)~午前5時36分(日の出)
※東京都青少年の健全な育成に関する条例により、18歳未満の方の午後11時から翌日午前4時までの入場はご遠慮願います。

第4回グラフィック「1_WALL」展 | 展覧会

「1_WALL」は『ひとつぼ展』をリニューアルした公募展で、2009年からスタートしました。3度にわたる審査で、応募者の実力や可能性を見ていきます。応募者にとっては表現者としての本気度が試される公募展です。4回を迎える今回も、一次審査、二次審査で実力を認められたファイナリスト6名が、与えられた壁面(2.5×3.85m)の展示に全力を注ぎ、グランプリ獲得に挑みます。誰がグランプリを獲得するのか、今後のグラフィック界で注目されるのは誰か、皆さんの目でお確かめください。

ガーディアン・ガーデンでは、一次審査(ポートフォリオ審査)と二次審査(ポートフォリレビュー)を通過した6名が、個展開催の権利をかけて作品を発表する第4回グラフィック「1_WALL」展を開催します。会期中の3月10日(木)には、グランプリを決定する最終審査を公開で行います。一般見学者の見ている目前でファイナリストによるプレゼンテーションが行われ、審査員による議論の後、グランプリを決定します。

以上、公式サイトより

公式サイト
第4回グラフィック「1_WALL」展 リクルートの2つのギャラリー
会場
リクルートの2つのギャラリー ガーディアン・ガーデン -アクセスマップ-
会期
2011年2月28日(月)~2011年3月24日(木)
休館日
日曜・祝日
開館時間
午後12時~午後7時(水曜のみ午後8時半まで)
観覧料
無料
カテゴリー: イベント情報 タグ: , ,

PUNK IN A COMA / momokomotion : 奈良美智 | ジャケットアート

PUNK IN A COMA PUNK IN A COMA
momokomotion

AWDR/LR2 2009-03-25
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タイのロックバンドFUTONの元メンバーであるモモコのソロプロジェクト「momokomotion」のファーストアルバム。

FUTONThe Danse SocietyInto a CircleにいたBee (Paul Hampshire) やSuedeのドラマーSimon Gilbertが在籍していたイギリス人、タイ人、日本人によるバンドで、現在は「GOO」とバンド名を変えてタイを中心に活動している。

FUTONでキーボードやボーカルを担当し、中心的な役割を担っていたモモコのファーストアルバムのジャケットに大きく載せられたイラストは、日本の現代美術を代表するアーティスト奈良美智さんによるもの。奈良さんの絵とmomokomotionの音がうまくマッチしている。ボクの持っているブックレット版では奈良さんのイラストとmomokomotionの世界がちりばめられていて、初期のFUTONを連想させる曲を聴きながらページを捲ると、momokoworldにはまります。

「momokomotion」と奈良美智という個性的な二人がタッグを組んだおすすめの一枚(一冊)。

カバーペインティング
奈良美智 – Wikipedia
奈良美智の日々
アートディレクション
momokomotion
ロゴ、グラフィックデザイン
Pam
グラフィックデザイン
Takae Ooka
フォトグラフ
Karnklit Jianpinidnun
参考サイト
momokomotion: Punk in a coma
発表
2009年3月25日