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プレゼンテーションのための配色 | 色彩

企画書を作成するときの配色に関して、パントン社が言及しているので、意訳しました。企画書の印象度アップに役立つと思います。

ビジネスをサポートやプレゼンテーションの方法は近年変わってきていますが、配色の基本的なルールに変化はありませんでした。しかし今日では、技術の進歩により綺麗な多くの色を使えるようになり、その重要性は増している。配色を的確にすることで誤解を避け、特長を際立たせて、共通項を導き、重要事項を目立たせる。配色はプレゼンテーターが聴講者になっとくさせることに役立ち、関係性をわかりやすくし、理解と記憶保持を良くするとともに関心度を高めて維持する。

以下に、基本的なガイドラインをまとめました。成功へと導くためのプレゼンテーション作成にご覧ください。

プレゼンテーションのための配色について

文字について
  1. 目的をもって、同じ色を繰り返し使う。
  2. 関連のある情報をグルーピングし、それを色によってまとめる。
  3. 聴講者のことを知り、計画をたててください。専門的で文化的な期待にこたえられるように。
  4. 企業や国家の間では色の持つ意味が違うので注意する。
  5. テキスト図がプレゼンテーションの少なくとも70%を占めるとき、プレゼンテーション全体の色目を同じトーンにする。
  6. 文章でなく、箇条書きにする。
  7. 「ホワイト・スペース」を活かしてすっきりさせる。
  8. 基本的なテキスト色を決めて、一つか二つのアクセントカラーで強調し、濃い地色に淡いテキスト色、淡い地色に濃いテキスト色でコントラストをつける。
  9. タイトル用の書体と本文用の書体をそれぞれ一つずつ、読みやすいサイズで決める。
  10. 印刷で一貫性を保つために、ウインドウズのための「PANTONE OFFICECOLOR ASSISTANT(TM)」かMac OS Xのための「ColorWeb Pro」が色合わせに役立ちます。
  11. 目的をもって、同じ色を繰り返し使う。
グラフィック画像について
  1. 色を必要以上に用いないで繁雑になるのを避ける。
  2. 通常、3色で十分。5色だと多過ぎることがある。
  3. 幾つかのヴィヴィッドな色や高彩度色の使用はうるさくなることがある。
  4. 一つのイメージに対し、そのコンセプトにあった色をつける。例えば、テキストや図中の強調させたい文言には色をつけるなど。
  5. 重要な箇所に目を向けさせるために、明るく目立たせる。場合によっては太くする。
  6. 優先度の高い箇所には色をつけ、明度差をつけることで、重要な箇所を目立たせ明確にさせる。逆に、濁った色や低彩度色で重要でない箇所を目立たなくする。
  7. 色に変化をつけて、分類しグルーピングする。

黄金律、それは「シンプルさを保つ」こと。

一つのグラフィックに用いる表現は一つだけ。

書体、線の太さ、模様、色および特殊効果を最小限に。

グラフィック – guidelines for business presentations

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sRGBの規格 | 色彩

デジタルデバイスの色彩を語る上で重要なsRGBに関して、パントン社が言及しているので、意訳しました。

WWW(World Wide Web)とウインドウズOSを使うときにモニターの標準規格として定められた色域。それがsRGBです。それ以前はオペレーティングシステムはRGBを使って色を表示していた。しかしながら、RGBの規格が統一されていなかったので、モニターに表示される色にバラつきがありました。

ヒューレット・パッカード、マイクロソフトなどがRGB色空間に関する規格として、sRGBを採用し、ユーザーの要望にこたえた。「sRGB (standard RGB)」はRGBの標準規格で、モニター、オペレーティングシステム、およびブラウザなど多く機器が準拠している。sRGBの仕様はガンマ2.2で白点の色温度(単位はケルビン[K]を用いる)は6500Kである。sRGBに則った色調整を行なう事で、モニター単体でも、複数のモニターでも色の差異を少なくする事が可能になる。

さらに、Windows 98/2000/XPの色空間はsRGBである。ちなみに、古いWindowsモニターは白点が9300Kで設定されている物がほとんどで、今の基準からするとかなり青っぽい白。そして、MacOSのガンマ値は1.8で白点は6500Kで、印刷業界の白点は5000Kが標準。

パントンカラーブリッジ/コート紙のRGB色の値は、sRGBの仕様に基づいたRGB値が表示されています。そのRGB値はモニター上でパントンカラーを可能な限り忠実に再現してくれます。

グラフィック – the sRGB color space

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色彩と文化 | 色彩

2001年にイギリスの黒人デザイナーオズワルド・ボーテング(OZWARD BOATENG)と仕事をしているときに、彼のポリシーを幾つか聞かされた。

まず一つ目は「財布を持たない」。オズワルドはトミー・ナッター(ローリングストーンズやビートルズ等のスーツを手がけた)のもとで修業をしたテーラードが得意なデザイナーで、彼の仕立てたスーツも多くのミュージシャンたちに愛用されている。確かに彼のスーツはシルエットが美しい。オズワルド自身、長身で均整のとれた体つきをしており、自分のスーツをかっこよく着こなす。そして、彼は自分のスーツを着る時にはポケットに何も入れてはいけないと言う。なぜなら、スーツのシルエットが変わるからだそうだ。なるほど、この美しいシルエットを保つためにはポケットに何も入れないほうがいいだろう。

彼自身もポケットに何も入れていない。さらに、彼の場合は鞄も持たない。荷物は荷物持ちが持つからだそうだ。彼の家はガーナー系の黒人一家だが、金持ちで、いわゆるブルジョワ階級だった。鞄は持たないけど、財布くらい持つだろう、と聞いたところ、オズワルドは財布持たないと言った。なぜなら、お金は他人に払ってもらうからだそうだ。

オズワルドのポリシー二つ目は、「白いスーツを着ない」ことだった。オズワルドのデザインしたスーツやシャツはビビッドな色が多い。それは、紫やオレンジなど発色のいい色は、彼の黒い肌によく合うからである。しかし、日本人にはこの派手な色のスーツは売れない。紺やグレー以外で遊びで着るスーツの色は生成りや白が売れる。そこで、彼に白いスーツを提案したところNGだった。なぜかと言えば、黒人が白いスーツを着ることは奴隷を意味するからだそうだ。なるほど、これまで意識したことはないが、確かにマネやピカソの絵画に出てくる奴隷は白い服を着ている。

海外でバイイングをしていると、彼らの文化や人種と日本のそれとのギャップを感じることがある。レディースのニットやカットソーをピックアップしていると、欧米人からベージュをよく勧められる。白人の女性は春夏に素肌にベージュをよく身に付けるが、彼らの出すベージュの色目は黄色人種の肌の色に近く、これを素肌に着ると一瞬、何も身に付けていないように見える。欧米でポピュラーな色が、日本では必ずしも一般的になるわけではない。計測された数値上では同じ色でも、人種や宗教、住む場所の気候などで色の見え方は大きく変わってくることもある。

文化によって色の意味合いが異なることもあるが、色の語源となると洋の東西で共通点もみられる。例えば、「赤」「red」の語源はどちらも人の血に関連している。「赤」は人身御供の儀式の様子が語源あり、「red」はサンスクリットで「血」に関連した語である「rudiras」をその語源としている。日本語の「アオ」は藍(アヰ)に由来し、英語の「blue」は古代ゲルマン語で藍色を表す「blao」を語源としている。「黒」と「black」の語源はともに燃えることに関連していて、「黒」は火を焚く場所の天井や煙突に、すすが点々とついている様子をあらわし、「black」はラテン語で火をあらわす「flamma」から派生したもので燃えかすの色を意味している。

このように色彩は人間の文化にも多種多様な影響を与え続けている。

参考文献:『色彩の世界地図』21世紀研究会編、文春新書

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アルマーニの配色 | 色彩

20世紀から21世紀に移ろうしていた時代、アパレルでメンズウェアーの企画をしていた時に、マーチャンダイザーを対象にしたコンサルタント会社のセミナーでアルマーニのマーチャンダイジングの話を聞いたことがある。

ジョルジオ・アルマーニはトレロビエラ社やティベルゲン社などが生産するレディースで用いるような打ち込みの甘いドレープ性のある素材を使って、革新的なメンズスーツをデザインし、現代の地位を築いたデザイナーであるけれども、コンサルタント会社を入れてちゃんとブランドビジネスしているビジネスマンでもあった。この時期アルマーニは英国人デザイナーの作品を盗作したとして訴えられていたこともあり、ビジネスがうまくいってなかったのだろう。

コンサルタント会社の話では、アルマーニの配色計画はムーン&スペンサーの色彩調和論を周到したもので、基調色とこの色から左右30°付近にある二色(類似調和)を基本色とし、これら三色に白、黒、グレーを加え展開するというものだった。ちなみに色彩調和論の主なものに

  • シュブルールの調和論
  • ルードの色彩調和論
  • オストワルトの調和論
  • ムーン&スペンサーの調和論
  • ジャッドの調和論

などがある。

色彩調和理論を鵜呑みにしようとは思わないけど、参考として取り入れるといいと思う。なお、IllustratorCS3以降ではスオッチライブラリーの中にイッテンの色相配色理論である「テトラード」や「トライアド」もあるので活用してみるといいと思います。

そういえば、当時、マックス・マーラーもアルマーニと同じコンサルタント会社を使っていたらしく、カラー展開が似ていた。

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ピンクの服 | 色彩

薬物乱用防止を教えるために警視庁の依頼で学校の副教材用リーフレットを制作したとき、ピンクの服を着た女の子のイラストにNGを出されたことがある。警視庁サイドでは問題なかったのだけど、文部科学省サイドで問題になったという。では、なぜ「ピンクの服を着た女の子」のイラストがNGなのかというと、このイラストは「ピンクの服=女性」をイメージさせ、このイメージがNGだという。では、男の子や男性教師のイラストにもピンクを使えばいいのかというと、どうもこれもNGらしく、その理由は教えてもらえなかった。そういえば、ピンクを女性キャラクターの色として使っていた『スーパー戦隊シリーズ』でも、一時期、女性キャラクターの色が黄色に変わっていた。

以下、ウィキペディアによる「ピンクに関する事項」から抜粋。
引用先ピンク – Wikipedia

  • 心理的に、興奮状態を落ち着かせ、緊張をほぐし、リラックスさせる色
  • 現代ではピンク色は女性に好まれ、女らしいとみなされる色
  • 無垢、子供らしさや、(他のパステル調の色と共に)春や花を暗示する色
  • 日本において性的な意味も持つ
  • カトリック教会の伝統においてピンクは喜びと幸せを表すもの
  • pinkはLSDの通称のひとつ

これを見るとピンクがNGだったのはLSDを連想させるからだったのかと思ったが、ハルシオンのことを「青玉」と言うので、これでは青色もNGになる。そうすると、おそらくは性的な意味をもつからNGだったのだろう。色彩と文化との関係は、こんな身近なところでもみられる。グローバル化された現代社会ではこの関係がさらに身近で複雑なものになってきている。

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色彩の心理学 (岩波新書) | 色彩

ゲーテの色彩論やシュヴルール、カッツ等著名な色彩学者の理論、錯視、色彩と音の関連性など色彩心理に関することが広く浅く紹介されている。

学生の頃、初めて読んだ時はあまり興味がもてなかったけど、色彩心理に関するその他の本を読むきっかけになった。時間をおいて何度か読み直してみると、入門書としてバランスのとれた内容であることに気付いた。今でも、たまにパラパラとめくってみることもある一冊。

色彩の心理学 (岩波新書) 色彩の心理学 (岩波新書)

岩波書店 1990-08
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著者
金子 隆芳
出版社
岩波書店
発売日
1990年8月
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リッチブラック | 色彩

印刷では黒に深みを増すためにリッチブラックという手法をよく使う。印刷の世界では同じ黒でも微妙な違いを表現してきた。しかし、これをモニター上で表現することは難しい。

例えば、C-40 M-40 Y-40 K-100のリッチブラックをPhotoshop CS3で設定すると、R-17 G-0 B-0になり、赤みを帯びた色になり、「ブラック」とは言い難い色になる。逆に、RGBの黒 R-0 G-0 B-0を設定すると、C-93 M-88 Y-89 K-80になる。この四色の合計すると350になるので、フィルムセッターの機種によっては受け付けてもらえないかもしれない。さらに、K-100のみの設定にした場合、RGBはそれぞれ37 30 28になり、モニター上で濁ったダークグレーに見える。

CMYKでは理論上1億以上の色数(101×101×101×101)が存在することになるが、RGB(8bit)では1677万色(256×256×256)くらいしか色数が無い。さらに、CMYKの色域とRGBの色域ではRGBのほうが大きい。すなわち、この二つは初めから相容れないもので、部分的にしか置き換えることができない。そもそも、減法混色と加法混色とでは、前者は色を加えていけば黒に近づくが、後者は白に近くなるので、その根本が全く逆である。

リッチブラックのように、WEBの世界で色出しをするときに微妙な色を表現できなくて残念に思うことが多々ある。もちろん、RGBの色域はCMYKの色域より広いので、RGBでしか出せない色も多い。けれども、最近の傾向として、印刷物の色がRGBに近づきそれを乗り越えようとしているように思える。以前はCMYKのEPS形式で入稿していた画像データを、今ではRGBのPSD形式で入稿するようになってきている。さらに、ハイデルベルグ社のSuper Fine Color 7色のように印刷でもRGBに近い色域で印刷できるようになってきている。印刷物における色の表現が広がり、WEBや映像との連携をさらに深められるようになればいいと思った。

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