ウォールクロック / アルネ・ヤコブセン | インダストリアルデザイン
Arne Jacobsen アルネ・ヤコブセン バンカーズ・クロック(Φ290mm)
Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン) |
デンマークの建築家、アルネ・ヤコブセンの遺作となった「デンマーク国立銀行」のためにデザインされた壁掛け時計で、1970年当時は照明で有名なルイス・ポールセンが製造していた。通称『バンカーズクロック』と言われ、現存数の少ないオリジナルを元に復元されている。
この時計には、時刻を表現する数字がない。その代わりに、黒色の細い罫線で描かれた12個の正方形を一条に連結し、この内の一つをずらして黒く塗り潰していくことにより、1から12の数を表している。こうして作られた12の規則正しい図形は、円形に配置されて、黒い正方形が渦を巻くようにして美しいグラフィカルな模様をなしている。
この時計の中央には、針を支える支柱が赤く彩色されてアクセントカラーの役割を担っている。ミニマムなデザインに加えて、この白黒赤の配色は、構成主義の影響が見られ、近代的なタイポグラフィーの基礎を築き、後のバウハウスにも影響を与えたエル・リシツキーのポスター『赤のくさびで白を打て』を思い起こさせる。
一週間に一分ほど遅れるこの時計。週に一度、時刻を合わせる時にそのフォルムの美しさを肌で感じさせてくれる。