もうすぐ2011年が終わろうとしている。正月になるとよく目にする日章旗。これまで、あまり気にかけず見過ごしていたことだけど、この日章旗の赤色を内閣府のサイトで調べてみると紅色だった。ずっと、金赤だと思っていたけれど、よく見直して見ると、確かに金赤でない。
紅色は「JIS Z 8102:2001」の規定では、マンセル値「3R 4/14」である。よって、やや赤紫よりの赤色で、やや暗く、少し彩度が強い色になる。しかし、内閣府の資料に記載されている「紅色」は1871年(明治3年)の『太政官布告 第59号 国旗の寸法等についての定め』に日の丸の色が「紅色」となっているから、ただこれを踏襲しているだけで、日本工業規格など念頭にないと思われる。そして、「JIS Z 8102:2001」は1957年に制定されているので、当然のことながら、『太政官布告』はJIS規格とは無関係に「紅色」を規定している。
内閣府の「紅色」が「JIS Z 8102:2001」の「紅色」でなければ、この色はどの色を示すのだろうか。それとも、『太政官布告』の「紅色」と内閣府の「紅色」は別物なのだろうか。起源は不明なこの旗。いずれにせよ、仮に、内閣府の「紅色」がマンセル値「3R 4/14」でなければ、日章旗の赤色に客観的かつ絶対的な規定はないことになる。
- 参考サイト
-
セブンチェアは、デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンの代表作の一つで、アントチェア(アリンコチェア)の後継モデルとして作られた。製造元であるフリッツ・ハンセンの公式サイトで「セブンチェアは、フリッツ・ハンセンのコレクションにおいて最も幅広く展開されているチェアです。」とあるように、オフィスやレストランでも目することが多い。多くの人に親しまれているいるが故に、コピー製品も多いいけど、その多くが粗悪品で、一目で偽物とわかる。
定番色のブラック、ホワイト、ビーチの他にカラー展開もされており、レザーや毛皮などの素材を用いたものや、アームやキャスターが付いたものなどバリエーションも多い。筆者のリビングにはナチュラルビーチ色のセブンチェアが二脚あるが、それぞれ木目が異なり個性が感じられる。成型加工された合板の曲線は美しく、包み込まれるような座り心地も申し分ない。
デザインと機能性が見事にマッチし、完成度のきわめて高いセブンチェア。是非とも、本物を購入して、その品質を存分に味わってほしいと思う。
- デザイナー
-
- 参考サイト
-
- 発売日
- 1955年
パントン社が提案する来年のテーマカラーは「赤みがかったオレンジ」だそうです。パントン社の色番では、「Pantone 17-1463 Tangerine Tango」。
タンジェリンと言えば、ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収められている曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」(Lucy in the Sky with Diamonds)を思い出す。この曲に「tangerine trees and marmalade skies」という歌詞があるが、とてもサイケデリックかつシュールで印象深い。ちなみに、このフレーズはドイツのバンド「タンジェリン・ドリーム」の名前の由来にもなっている。
タンジェリンはマンダリンとよく似ているが、ウィキペディアによると、「マンダリンとタンジェリン(英: Tangerine)は植物学上は同一分類のCitrus Reticulata種に属し、成熟した果実の果皮の色が黄色~橙色のものをマンダリン、橙色~赤色のものをタンジェリンと呼ぶ。」とあり、並べてみるとその色差がわかる。
「洗練されているが、同時に劇的で、誘惑的」なこの色が、2012年をタンゴのように情熱的で活気のある一年にしてくれるといいな。
- 参考サイト
-
2005年56才で他界された佐々木敏光さんの代表作。イーチェアは2001年グッドデザイン賞を受賞しているが、それ以前に、天童木工からT-5623WB-ST キッズチェアとして販売されている。原型は、オランダ生まれのアーティストが孫のために書いてあげた絵本に刺激を受け、「自分も子供に何か作ってあげたい、せっかくなら複合機能を持たせたほうが楽しいだろう」との発想から誕生したらしい。
子どもの誕生にあわせて購入した椅子だけど、筆者も、今まさにこの椅子に座りながらキーボードを打っており、この椅子に座ることは多い。座り心地は勿論のこと、素材の質感もよく、たまに緩んだネジを締めたり、拭き掃除をしたりと手入れをするたびに愛着がわく。買った当初は木馬にしてみたりもしたが、子どもが大きくなった今、木馬にすることはなくなったものの、こうして幼い子どもから大人まで使える椅子として素晴らしいデザインである。この椅子が多くの人に長年親しまれていることを、座るたびに実感させられる。
筆者が購入した当時とは時代も変わり、現在のイーチェアはさらに進化し、佐々木デザインインターナショナル株式会社からNew BAMBINI(ニューバンビーニ)として展開されている。佐々木敏光さんがデザインしたこの椅子は、これからも末永く筆者のリビングに不可欠なアイテムになるだろう。
- デザイナー
-
- 参考サイト
-
このルイス・ポールセン社のPH5ランプは反射光を巧みに利用し、「暖かさと爽やかさを同時に醸しだす光」を演出してくれる。発売が1958年だから50年以上も生産されていて、多くの人々に愛され続けているロングセラーなペンダントライトの一つ。
このペンダントライトは、デンマークのデザイナー:ポール・ヘニングセンによってデザインされ、デンマークで生産されているけど、日本風の部屋にもマッチし、日本の空気に自然と溶け込む。間接照明の柔らかい光が、やさしく部屋全体を照らしてくれる。
らせん状のデザインは、飾って観賞するものいいけど、実用的でもある。この照明一つを灯し、晩酌をすると、一日を心地よく終えることができる。
- デザイナー
-
- 参考サイト
-
- 発売日
- 1958年
本年も残りわずか…。年賀状作りの参考に。
以下、公式サイトより抜粋
招待作家……新井苑子/安西水丸/井筒啓之/上田三根子/宇野亜喜良/佐々木悟郎/下谷二助/唐仁原教久/長友啓典/灘本唯人/藤枝リュウジ/峰岸 達/若尾真一郎
- 公式サイト
- クリ8ギャラリー開設記念展“クリ8メンバー”と“招待作家” 「2012年賀状」展
- 会場
- ギャラリー・クリエイト(メゾン青山2階)
- 会期
- 2011年11月15日(火)~2011年11月27日(日)
- 休館日
- 会期中無休
- 開館時間
- 午前11時~午後7時(最終日午後5時迄)
- 観覧料
- 無料
アルバムタイトルもアーティストのクレジットも印字されていないジャケットデザイン。小松孝英さんの原画を前面に打ち出そうとした意図もあると思われるが、あえて文字要素を入れ無いことに「空」の美学を感じる。
「空」という言葉を論じるときに、仏教の経典『般若心経』の一節「色即是空 空即是色」がよく引き合いに出されるが、この言葉に表されているように「無い」ことによって「在る」という因果を知らされる。そして、小松孝英さんの作品は「空」の思想によくマッチしている。
背景に敷き詰められた障子を連想させる格子状の模様は、前面に銀色のインクが用いられているが、その色は燻し銀のような趣で風情を感じる。この格子模様から垣間見られる水面には満月が映し出され、水辺の所々に生えている羊歯が、写実的に描かれた蝶に幻想的な雰囲気を与えている。水面に浮かぶ獣の白骨と水面に映し出されたように見える三重の輪で表された花びらのような模様は、何を意味しているのだろうか。
このアルバムのジャケットは四つ折り観音開きになっているけど、全て見開いて鑑賞することをお勧めしたい。
- Cover Artwork
-
- Photography
-
- Hair&Make-up
-
- Design
-
- 相川 志津和(avex marketing inc.)
- Creative Coordination
-
- 上田直樹(avex marketing inc.)
- 参考サイト
-
- 発表
- 2008年 6月18日
デンマークの建築家、アルネ・ヤコブセンの遺作となった「デンマーク国立銀行」のためにデザインされた壁掛け時計で、1970年当時は照明で有名なルイス・ポールセンが製造していた。通称『バンカーズクロック』と言われ、現存数の少ないオリジナルを元に復元されている。
この時計には、時刻を表現する数字がない。その代わりに、黒色の細い罫線で描かれた12個の正方形を一条に連結し、この内の一つをずらして黒く塗り潰していくことにより、1から12の数を表している。こうして作られた12の規則正しい図形は、円形に配置されて、黒い正方形が渦を巻くようにして美しいグラフィカルな模様をなしている。
この時計の中央には、針を支える支柱が赤く彩色されてアクセントカラーの役割を担っている。ミニマムなデザインに加えて、この白黒赤の配色は、構成主義の影響が見られ、近代的なタイポグラフィーの基礎を築き、後のバウハウスにも影響を与えたエル・リシツキーのポスター『赤のくさびで白を打て』を思い起こさせる。
一週間に一分ほど遅れるこの時計。週に一度、時刻を合わせる時にそのフォルムの美しさを肌で感じさせてくれる。
- デザイナー
-
以下、公式サイトより抜粋
日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)による東日本大震災に対する復興支援プロジェクト「やさしいハンカチ展」。586点のハンカチを展示・販売し、来場者が1枚お求めになると、同じデザインのハンカチが1枚、東北の子どもたちに届きます。
- 公式サイト
- Handkerchiefs for Tohoku Children
- 会場
- 東京ミッドタウン・デザインハブ(ミッドタウン・タワー5F)
- 会期
- 2011年11月18日(金)~2011年12月25日(日)
- 休館日
- 会期中無休
- 開館時間
- 午前11時~午後7時
- 観覧料
- 無料
音楽やファッションの世界でニューウェイブがもてはやされていた時代に、このアルバムは発表されている。当時の肩肘張った大げさなスタイルとは裏腹に、身近でお洒落な作品をリリースした加藤和彦さんのセンスは見事だと思う。
僕の所有しているアナログレコードにはレコード盤と歌詞カードとは別に、ジャケットデザインに使用されている金子國義さんの油絵を用いたポストカードと、『ファンの皆様へ』と題された加藤和彦さんのメッセージカードが付けられている。このB5の用紙にこめられたメッセージの最後に「レコードはプライベートな楽しみだけに使ってください。音楽を愛するすべての人にお願いします。」という一文がある。良質な作品を創り出すためには、それなりの時間とお金がかかる。しかし、作品のクオリティとビジネスとは必ずしも比例しない。その上、この当時から顕著になってきた複製技術の進歩により、音楽を聴くスタイルが変化してきた。複製技術に加え、通信技術が進歩しインターネットが生活の一部となっている現在、今一度、クリエイティブな仕事の意味を考え、「クオリティ」というものが人々の生活に与える影響を見直す必要があると思う。
加藤和彦さんの海外録音3部作『パパ・ヘミングウェイ』、『うたかたのオペラ』、『ベル・エキセントリック』に続く、この『あの頃、マリー・ローランサン』というアルバムは、前作の『ベル・エキセントリック』同様、豪華な参加ミュージシャンに劣らずアートワークも豪華で、渡邊かをるさんのアートディレクションに、金子國義さんの絵画という顔ぶれ。加藤和彦さんの上質なものに対するコダワリを感じます。
明るく軽快な音楽にマッチしたオレンジ色が印象的なジャケットデザインとともに、同名の書籍『加藤和彦スタイルブック―あの頃、マリー・ローランサン』を読んで、生活を愉しみたいと思う。
- Art Director
-
- Designed by
-
- painting by
-
- 参考サイト
-
- 発表
- 1983年