日本のパンクロックを語るときには欠かせないバンド「ガスタンク」のメジャー移籍第一弾アルバム。ジャケットデザインも日本のアートシーンを語るときには欠かせないアーティストの横尾忠則さんです。
横尾忠則さんはマイルス・デイビスの『アガルタ』やサンタナの『ロータスの伝説』、国内では山口百恵の『COSMOS 宇宙』や一青窈の『江戸ポルカ』など数多くのジャケットデザインを手掛けている。その多くの作品で見ることができる、時空を超え、多様な技法を織り混ぜて展開される横尾忠則ワールド。横尾さんのアートワークは何も語ること無く、だたその世界に入り瞑想することで師とのコミュニケーションがはかれるデバイスみたいです。それは冷たい無機質な機械ではなく、いうなれば、横尾忠則さんの出身地である西脇で作られる職人的なシャツ地のように、職人的な情熱を感じられる魂をもった存在。
このガスタンクのアルバム。ボクはアナログ盤しか持っていないのだけど、見開きジャケットになっていて見ごたえがあります。
- デザイナー
- 横尾忠則 – Wikipedia
TADANORI YOKOO OFFICIAL WEBSITE
- 参考サイト
- GASTUNK – Wikipedia
- 参考サイト
- GASTUNK Official Site
- 発表
- 1987年6月
制作当時にメンバーから「出来の悪いアルバム」と酷評されているビートルズの11作目のオリジナル・アルバム。
『イエロー・サブマリン』のアートワークはポップアートのアーティストピーター・マックスによるものという記述も見かけるけど、正解はハインツ・エーデルマンです。
ハインツ・エーデルマンは1934年、チェコスロバキア生れのイラストレーターで、デュッセルドルフ芸術アカデミーで版画を学んだ後、イラストレーター、デザイナーとして劇場用ポスターを手掛けている。ロバート・R. ヒエロニムスの『イエロー・サブマリン航海記 ビートルズ・アニメーション全記録』によれば、エーデルマンは『イエロー・サブマリン』のデザイナーとたてまつられるのを故意に避けていたみたいです。彼はビートルズの音楽に興味が無かったし、ビートルズのメンバーも制作当初この作品のコンセプトに乗り気ではなかった。このような状況で手掛ける仕事は、エーデルマンにとってはただビジネスとして割りきってこなしていた案件だったのだろう。
しかし、エーデルマンの凄いところは、この状況下でも最高のクオリティで仕事をし、作品が目に見える形になるにつれて、ビートルズのメンバーに興味感心をもたせていったことである。彼の職人的な姿勢には見習うべきところが多い。
- Artwork
- Heinz Edelmann – Wikipedia
- 参考サイト
- Yellow Submarine (album) – Wikipedia
- 参考サイト
- Yellow Submarine (film) – Wikipedia
- 参考サイト
- イエロー・サブマリン – Wikipedia
- 発表
- 1969年1月13日
ニルヴァーナのセカンド・アルバムで、曲も素晴らしいけど、ジャケットデザインにおいても、ロック史における最重要アルバムの一つだと思う。
スイミングをしている赤ちゃんが1ドル札に今にも喰らいつく様子は、ニルヴァーナの音楽のみならずグランジやその当時の時代性をうまく表現している。
ロバート・フィッシャーのユーモアーあふれるアイデアと、カーク・ウェドルによるすばらしい水中写真には脱帽させられる思いです。
- Artwork
- ROBERT FISHER
- Cover Photo
- Kirk Weddle
- Photography
- Michael Lavine
Michael Lavine – Wikipedia
- 参考サイト
- Nevermind – Wikipedia
- 参考サイト
- ネヴァーマインド – Wikipedia
- 発表
- 1991年9月24日
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターが素敵なデヴィッド・ボウイの14枚目のアルバム。1983年にリリースされ、全世界で爆発的なヒットを記録している。
アートワークを手掛けた布陣もすばらしい。1978年にボウイの舞台美術も担当しているポップ・アーティストのDerek Boshier。2010年に発売された『STATION TO STATION SPECIAL EDITION』のブックレットにも携わっているKevin Cann。そして、このアルバムのカバーデザインを担当した人物が、スーパートランプ『Breakfast in America』のジャケット・アート・ディレクションでグラミー賞を受賞しているMick Haggertyで、写真はハリウッド俳優のポートレートを多く手掛けているGreg Gormanである。ちなみに中面の写真はロック写真の中心人物の一人Denis O’Reganです。
ミック・ハガティーはロンドン生まれのデザイナー。1973年から74年にRod Dyer Inc.で幅広いジャンルでレコードアルバムのデザインを手がけている。その後独立し、Mick Haggerty Designを設立し、レコード・ジャケットのみならず、広告の仕事もしている。また、ホール&オーツの『Family Man』、エアロスミスの『Walk on Water』、PILの『Warrior』など、ミュージックビデオのディレクターとしてMTVからも賞を贈られている。現在はBrains Inc.でデザインとアートディレクションを担当する傍ら、フリーで様々な活動をしている。彼の多様な色使いと、斬新な構図は勉強になります。
- Cover Art, Logo
- Mick Haggerty
- Paintings
- Derek Boshier – Wikipedia
Derek Boshier The Artist’s Site
- Package Design
- Kevin Cann
- Cover Art, Logo
- Greg Gorman – Wikipedia
GORMANPHOTOGRAPHY.COM
- Cover Art, Logo
- Denis O’Regan – Wikipedia
Denis O’Regan Rock photographer
- 参考サイト
- Let’s Dance (David Bowie album) – Wikipedia
- 参考サイト
- レッツ・ダンス – Wikipedia
- 発表
- 1983年4月
他のアーチストもパロディー化したり、「ポール死亡説」の噂など話題豊富なこのデザイン。アート・ディレクターをしているのは、60年代末期から80年代にかけて英米の大物アーチスト達のアルバム・ジャケットを次々と手掛けているKosh(ジョン・コッシュ)です。
Koshは芸術誌のアート・ディレクションをしていた人物で、ビートルズと出会いアップル・レコードのクリエイティブ・ディレクターになり、『Let It Be』のアート・ワークも担当している。リンダ・ロンシュタットのカバー・デザインでグラミー賞アルバムデザイン部門でグラミーを3度の受賞したり、イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』も手掛けているデザイナー。
この写真を撮影したイアン・マクミランはオノ・ヨーコの知り合いで、この『アビイ・ロード』のために6枚の写真を撮っていて、ジャケット・カバーに採用されたのは5枚目。他の写真にはポールがビーチサンダルをはいているものや右から左へ歩くポーズ違いの写真などがある。
コスチュームは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの白いウェディングスーツやエルトン・ジョン、マイケル・ジャクソンなど多くのミュージシャンのスーツを手掛けているサヴィル・ロウのテーラーであるトミー・ナッターのスーツ。
世界的に名声を得たミュージシャンに売れっ子アート・ディレクターとフォトグラファー、そしてトミー・ナッターの衣装と、素晴らしいスタッフ陣によって作られた歴史に残る一枚。
- アートワーク
- Kosh (art director) – Wikipedia, the free encyclopedia
- フォトグラファー
- Iain Macmillan – Wikipedia, the free encyclopedia
- 参考サイト
- Abbey Road – Wikipedia, the free encyclopedia
- 参考サイト
- アビイ・ロード – Wikipedia
- 発表
- 1969年4月
プリズムによるスペクトルが印象的な名作。あまりにも有名なので、ピンク・フロイドをあまり聴いたことが無い人でもロックが好きな人なら一度は目にしたことがあると思う。
人間の内面に潜む「狂気」を描き出すというこのアルバムのコンセプトは当初のメンバーだったシド・バレットを連想させる。今では誰でも簡単に出来るようになったサンプリングとリミックスをいう手法がこのアルバムでは大胆に使われていて、「マネーの冒頭で聴かれるレジスターの音は編集に30日要した」という。
アルバム・タイトルが込められた「There is no dark side of the moon really. Matter of fact it’s all dark」という歌詞も哲学的ですばらいし。闇の中で輝く七色の光は、希望?それとも、絶望?全てが闇なのだから幻姿(specter)?。。。
- アートワーク
- ヒプノシス – Wikipedia
- 参考サイト
- Hipgnosis – Wikipedia, the free encyclopedia
- 参考サイト
- 狂気 (アルバム) – Wikipedia
- 参考サイト
- The Dark Side of the Moon – Wikipedia, the free encyclopedia
- 発表
- 1973年3月
シド・バレット、クイーン、デヴィッド・ボウイ、イギー・ポップ、セックス・ピストルズ、ラモーンズ、ブロンディなどなど、70年代を象徴する多くのミュージシャン達をファインダーに収めたミック・ロック。ルー・リード二枚目のソロアルバム『トランスフォーマー』にも彼の写真が使われています。
セミアコ・ギターを抱え、パンダのようなメイクで彼方を眺めるルー・リードのポートレートは、アルバムに収められた語るように歌うルー・リードの陰鬱な曲を目に見える形で表現している。
「Perfect Day」「Walk on the Wild Side」「Satellite of Love」などの名曲とともに、音楽とジャケットデザインとが見事にマッチした作品として、後世に残したい一枚。
- フォトグラファー
- Mick Rock
- 参考サイト
- Mick Rock – Wikipedia, the free encyclopedia
- 参考サイト
- Transformer (album) – Wikipedia, the free encyclopedia
- 発表
- 1972年12月
大きい・速い・短い。三拍子そろったラモーンズのファーストアルバム。
このアルバムジャケットの写真を撮ったのは、Pistols、Televisions、Costello70年代に多くのミュージシャンを撮影したパンク・ロック写真家ロベルタ・ベイリー。この時代の空気を自分の中に取り込み、それをエネルギー源として生活していた彼女だから撮れた写真だと思う。
このラモーンズの写真は、この当時のシーンと彼女のロック魂とが伝わってくるいい一枚。
- フォトグラファー
- Roberta Bayley
- 参考サイト
- Ramones (Ramones album) – Wikipedia, the free encyclopedia
- 発表
- 1976年4月
六本木ヒルズのロゴで日本でも名の知れたグラフィックデザイナーであるジョナサン・バーンブルック。『First Things First 2000 a design manifesto』に署名している彼が、デヴィッド・ボウイの歌唱力を前面に押し出したこのアルバムのアートワークを手がけている。
『ヒーザン』に込められた静かで野蛮なデヴィッド・ボウイの思いが、ジョナサン・バーンブルックの社会に対する問題意識でフィルタリングされ、より崇高なものに仕上げられていて素晴らしい。
- デザイナー
- Jonathan Barnbrook
- 参考サイト
- Heathen (album) – Wikipedia, the free encyclopedia
- 参考サイト
- ヒーザン – Wikipedia
- 発表
- 2002年6月
国際的に活躍するアート・ディレクター、グラフィック・デザイナーのネヴィル・ブロディさん。昨年2009年に佐藤可士和さんとの対談などされていて、その影響力はいまだ衰えを見せていません。
ネヴィル・ブロディさんはこの他にもキャバレー・ヴォルテール(通称:キャブス)のアートワークを手掛けており、どれも素晴らしいけど、特にこの『Micro Phonies』は音とアートワークとのマッチングがいい。
ちなみに、ボクが参加しているユニット『Red Mecca』はキャブスのアルバム(このアルバムのアートワークもネヴィル・ブロディさんが担当)からネーミングしました。
- デザイナー
- Neville Brody
- 参考サイト
- Micro Phonies – Wikipedia, the free encyclopedia
- 発表
- 1984年11月