スマートフォンが急速に進み、HTML5も多くのブラウザが対応するようなったことで、ワンソースで全デバイスに対応したページを作りたいと思っている人は多いと思う。そして、ネット上のいろんな情報を参考にしながら、CSSやJavaScript、CGIを巧みに使って、試行錯誤しながら作っていることだろう。
この書籍はワンソースで全デバイスに対応したページが表示されるように作る「レスポンシブ・ウェブデザイン」について、その情報をきれいに整理して書かれている。そして、この本のいいところは、技術的な手法だけでなく、レスポンシブ・ウェブデザインでサイトを制作するにあたっての進め方まで記載されていることである。実際に、技術的な面も重要だけど、設計段階で熟慮して進めることも大切で、これを怠ると、そのサイトは不良品というレッテルを押されることになる。余談だが、緻密にレイアウト設計し、的確な技術で実装しても、出来上がった制作物にデザイン的な魅力が無くては駄目だと思う。そんな中、カネボウ化粧品のサイトは素晴らしい(2012年6月)と思った。
この書籍の「はじめに」で書かれている「スマートフォンやタブレット端末の登場により、今Webの世界が変わろうとしています。これまでインターネットに接続しWebサイトを閲覧可能だったPCや携帯電話だけを相手にすればよい時代は、いよいよ終わりを告げるかもしれません。」という冒頭の一文は、制作の現場でスマートフォンサイトの案件が増えていることを考えると、そのまま現実になっているようである。
2012年度において、Webデザインに関してためになる一冊。
- 公式サイト
- レスポンシブ・ウェブデザイン標準ガイド
- 著者
- こもりまさあき – gaspanik weblog
- 出版社
- 株式会社エムディエヌコーポレーション
- 発売日
- 2012年5月25日
ウェブスタンダード(ウェブ標準)という言葉もてはやされから月日は経っているし、2011年の今では、まだW3Cによって勧告もされていないHTML5関連の書物も出回り、時代の移り変わりを予感させられる。
そのような中、XHTMLとCSSについて解説されたこの本を読む意味があるのか?「今更、Web標準の基本とCSSレイアウトなんて」と、思っている人にこそ、この書物は重要であると思う。世界的に有名な大企業のリリースしているWebサイトを見ていると、「Web標準」を流行ビジネス用語の一つとして上辺だけのセールス文句にし、簡単なWebサイトも作れないWebプロデューサと専門知識をもっているスタッフを窓口に置かないクライアントとの合作があふれている。粗末なWebサイトが、その企業の体質となって、ニュースになるようなビジネス上での不祥事としてあらわれているのではなかろうか。
この本には、誠実で良質な解説でHTMLおよびCSSコーディングの基本(基礎)が書かれているので、次のHTML5に移行する際にも役に立つだろう。個人的なスタイルでWebを制作していることに不安や疑問を持っているなら、この本を素直に受け入れると、基礎が身につき、真の応用を見つけられると思う。
Web業界にかかわる人にとって必読の一冊。
- 著者
- 市瀬 裕哉、福島 英児、望月 真琴
- 出版社
- 技術評論社
- 発売日
- 2008年11月29日
2月に開催された東京ミッドタウン・デザインハブ特別展『JAGDA CALENDAR SALONE 2011』の公式サイト。
この展覧会では、全国で活躍するグラフィックデザイナーが制作した2011年版のオリジナルカレンダー(見本)を展示し、社会や企業、消費者の皆様に提案しています。
実験的でバリエーション豊かなカレンダー(約100点)を、ぜひご覧ください。
- サイト
- JAGDA CALENDAR SALONE 2011 ー 東京ミッドタウン・デザインハブ特別展
- 企画・運営
- 社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)
- 協力
- 東京リスマチック(株)/羽陽美術印刷(株)/(株)山田写真製版所/(有)ランドスケーププロダクツ
- 発表
- 2010年4月
出版されたときに話題になったWebの企画・制作からビジネスまでを網羅したノウハウ本。
Web制作はその技術や規模、そして利用環境も、この著作が出版されてから大きく変化し、制作現場も専門化・分担化をするようになり、Web制作関連の職種も乱立している。時代の流れにあわせて様々なWebのノウハウ本が世に出回っているが、残念ながら、その多くがとてもクオリティの高いものとは言えず、あまりにも未熟で不適切なものが多いような気がする。
この本が出版されてから10年後の現在、Web2.0にみられるように、Web業界が大きく変化しているにもかかわらず、この著作の内容は色あせない。それは、そこにWebプロデュースのエッセンスが込められているからだと思う。
Web業界にかかわる人にとって必読の一冊。
- 公式サイト
- 【SCC Books】プロフェッショナルWebプロデュース
- 著者
- Jules Yoshiyuki Tajima
- 出版社
- エスシーシー
- 発売日
- 2000年3月