特異な音と歌詞、そして演劇的なステージングで、独自の美学を表現している伝説的なロックバンド「マダム・エドワルダ」の写真展。今では知る人ぞ知る的な存在だけど、日本のロックシーンに与えた影響は計り知れない程大きい。
彼らの美しく妖しい写真を見ていると、人間の生活における美しい部分と汚らわしい部分の混在した秘儀の重要性を感じる。耽美主義者の方々必見のイベント。
以下、公式サイトより抜粋
近くの物は大きく、遠くの物は小さく見える。まるで透視画法のような時空間の変化の中で妖しく密かに息づいてきたロックバンド、それがマダム・エドワルダである。そして、今回原宿の老舗セレクトショップA STORE ROBOTの店内で行われるのは1980年の結成から30年間以上にわたり活動を続けているマダム・エドワルダの懐古透視的な幻覚的展覧会。
結成当時から現在までのマダム・エドワルダの写真を中心に、日本初のゴシックパンク秘密クラブ「クラブ・ワルプルギス」の写真などを織り交ぜて展示します。
あらゆる事象は栄枯盛衰を繰り返す。
- 公式サイト
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- 会場
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- 会期
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- 2012年2月27日(月)~2012年3月25日(日)
- 休館日
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- 開館時間
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- 観覧料
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- 参考サイト
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真っ黒なボックス型のカバーにはシルバーの箔押しで「RAIN TREE CROW」と印字されている。この中にはプラケースに収められたCDとブックレット、そしてこれとは別に対訳付きの歌詞と、デヴィッド・シルヴィアン、藤原新也、ブロードキャスターのピーター・バラカン、プロデューサーの立川直樹、四氏によるライナーノーツが掲載されているブックレットが収められている。
『RAIN TREE CROW』は、1982年に解散したイギリスのロックバンド「ジャパン」の再結成ユニットでそのアルバム。メンバーはジャパンの最後のオリジナルアルバム『錻力の太鼓』と同メンバーだけど、何故かジャパン名義でない。その理由はこのアルバムに収められている12曲の音を聴けば、よくわかると思う。これはジャパンの音ではない。
プラケースに入れられたブックレットの表紙はセピア色の沙漠の写真で、大きく「RAIN TREE CROW」とボックス型のカバーと同じ書体で印字されている。この殺風景な写真からはイメージが付きにくい「雨」と「木」、そしてこの写真の何処にも姿が見えない「烏」という単語。このアンバランスな組み合わせに多くの人が首をかしげるかもしれない。筆者もその一人だった。しかし、ジャパンでない「RAIN TREE CROW」の音を聞けばその答えが解かる。映画『バグダッド・カフェ』の舞台でもあるこのモハーヴェ砂漠を撮影した藤原新也さんが明確にそのことを語っている。
あの私の写真の中に「RAIN TREE」が見えたのである。不思議なことだ。私はある人間の目と、そして音の創造とによって、私自身の撮った写真に対する新たな見かたを教えられたのだ。それを言葉にするというのは野暮である。
- cover photography
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- design
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- art director
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- 参考サイト
- Rain Tree Crow – Wikipedia
- 発表
- 1991年4月20日
「Flashback」「Bad Miss ‘M’」「Big Hollow Man」「Fizzing Human-Bomb」など、ダニエル・ダックスの代表曲が収められていて、今でもよく針を落とすアルバム。
キャッチーなポップス、カントリー、シタールやカリンバを用いた民族音楽などワールドワイドな楽曲に相応しいカバー写真は、ホリー・ワーバートンによるもので、レイヤードを施して映画のワンシーンを抜き取ったようなイメージに仕上げる彼女の特徴的な作品である。この耽美的な作品には、ダニエル・ダックスのポートレートとユリの花、溶けて流れ落ちる金属のようなテクスチャなどが用いられていて、ダニエル・ダックスの美しく、そして時に醜悪で神秘的な歌声を表現している。
ダニエル・ダックスは彼女の作品が相当気に入っているらしくこの『Inky Bloaters』の他にも『Jesus Egg That Wept』『Dark Adapted Eye』などもホリー・ワーバートンの作品が採用されている。彼女の作品は、All About Eveのセカンドアルバム『Scarlet And Other Stories』黒百合姉妹の『最後は天使と聴く沈む世界の翅の記憶』でも見ることができる。
ウィキペディアではダニエル・ダックスがカバーアートワークを手がけていることになっているが、アナログ盤ジャケットには、エロティックで退廃的な映画を手がけるナイジェル・ウィングローブの名前がクレジットされている。
- Design
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- Cover Photograph
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- 参考サイト
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- 発表
- 1987年
シェイクスピア「ハムレット」の一節”What dreams may come, When we have shuffled off this mortal coil, Must give us pause” から名付けられたプロジェクト「This Mortal Coil」のセカンドアルバム。4ADレーベル初の二枚組みアルバムなだけに、ジャケットデザインも収められている音楽に劣らず素晴らしく美しい。
シルバーインクの上に写真を溶け込ませる技法は、アートワークを手掛けている23 Envelopeの得意技の一つで、Nigel Griersonの幻想的な写真にバランスよくマッチしている。ブラウンに近いエンジ色の差し色が、静かな動きを与える効果をなして、固体にも液体にも変わる金属の柔軟な性質を表しているかのようである。
インナースリーブに配置されているタイポグラフィーは、スクリプトフォントとサンセリフ体、セリフ体を用いて、このアルバムに収められた曲の静寂さと躍動感を視覚的に伝えてくれている。そのリズミカルなバランスも23 Envelopeの特徴の一つであるが、大文字と小文字の使い分けや級数のバランスは職人芸的な美しさがある。
今では、CDもリリースされているが、LPレコードとCDでは残念なことにジャケットデザインが異なる。そして、この作品は二枚組みアナログ版で聴くことを前提に構成されているので、是非、針を落として聴いて欲しい。
- 公式サイト
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- Sleeve
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- Photography
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- 参考サイト
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- 発表
- 1986年9月20日
大好きな写真家の一人リンダ・マッカートニーさんの写真集。ビートルズは勿論、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ドアーズなど、著名なミュージシャンたちがこの本の中には収められているが、そのロックな姿とは裏腹に優しい感じのする絵作りになっている。写しだれた構図と陰影、そして時間、それらが美しい調和をなしていて、気品が感じられる。
写真撮影をライフスタイルの一つにしている人にとって重要な一冊。
- 公式サイト
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- フォトグラフ
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- 出版社
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- 発売日
- 2011年6月
コンピュータとデジタルカメラの進歩とともに、容易に作業が出来るようになり、目新しくなくなった「フォトモンタージュ」ですが、この手法が使われだした20世紀初頭は、展覧会など催され、一目をおかれる手法でした。そして、今では、「フォトモンタージュ」という言葉もあまり耳にすることも無くなったように思います。
政治的なプロパガンダに使用されることも多く、人々の精神面に与える影響力は多いはずであるが、音楽や絵画などの芸術による心理的な作用と同じで、多くの人がこのことに注意しようとしない。
街中のさまざまな場所で見られる写真のコラージュを眺めていると、今日あまり使われることがなくなった「フォトモンタージ」という古臭い言葉に、注目してみたいと思った。
- 参考サイト
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フォトモンタージュ – Wikipedia
Photomontage – Wikipedia
西洋絵画に興味のある人なら人目でわかる、フランス印象派の画家エドゥアール・マネの『草上の昼食』のパロディー。写真にある裸の女性は、このアルバムのバンド「バウ・ワウ・ワウ」のヴォーカリストのアナベラ・ルウィンで、当時15歳だった。そして、この写真を見たアナベラの母親が提訴し、発売延期にまで至ってしまった…。そんなこともあり、このジャケット・カバーには別ヴァージョンがある。
マネージャーのマルコム・マクラーレンが採った奇を狙った手法も注目に値するが、アンディ・アールの撮った写真も素晴らしい。このアルバムを語るとき、スキャンダラスな話題ばかりが取り上げられるが、緑の中で赤色をアクセントカラーにし、ヴィヴィアン・ウエストウッドの洋服を着た男たちに囲まれる裸の女性が絶妙なバランスで配置されている。このことも、もっと評価されていいのではなかろうか。
スキャンダラスなジャケット・カバーは他にも多々あるが、このアルバムの写真はその美しさによって、他では見られない素晴らしい出来となっている。また、収められている曲も、今聴いても新鮮で、アートワークと音楽と両面で完成度の高い作品として、ロック史上語り継がれて欲しいアルバムの一つである。
- フォトグラフ
- Andy Earl
- 参考サイト
- BOW WOW WOW
Bow Wow Wow – Wikipedia
バウ・ワウ・ワウ – Wikipedia
- 発表
- 1981年10月
「TRICKY」の名前が四つに分断されたデザインが印象的なジャケットの『マクシンクェーイ』は、90年代のトリップ・ホップを代表するトリッキーのデビュー作。アルバムのタイトルは彼が4歳の時に自殺した母親の名である。
このアルバムのアートディレクションとデザインを手がけているCally(本名:Martin Callomon)は、Island Recordsのアートワーク部門Island Artに所属しているアートディレクタで、70年代にはThe bears、80年代にはThe tea setというパンクバンドのメンバーでもあった人物。Julian Copeのマネージメントもしている。
ダブの手法を大胆に取り入れたトリッキーの音楽と、彼の生い立ちを連想させる多くの写真と、Andy Earl、Paul Rider、Valerie Phillipsなど著名な写真家による彼のポートレートが入り交じったブックレットは、このアルバムに込められたメッセージをビジュアルで表現しているかのようである。「HELL IS ROUND THE CORNER 」地獄から逃れる逃亡者の物語が見えてくる、重いパンチを入れられた時に感じる痛みがいつまでも抜けないような一枚である。
- アートディレクション、デザイン
- Cally
- フォトグラフ:Tricky Shoot
- Andy Earl
Paul Rider
Valerie Phillips
- フォトグラフ:Random Shots
- Baron Von Callmeister
- 参考サイト
- Maxinquaye – Wikipedia
トリッキー – Wikipedia
- 発表
- 1995年2月20日
油で拭いた後の鉄板のようなうねった模様の暗闇の中に、二人の紳士が落ち着いた眼差しでこちらを見ている。黒色と金色と赤色を用い、センターラインを意識してレイアウトされた簡潔なデザイン。
2011年1月4日に癌で亡くなったミック・カーンと元ウルトラヴォックスのミッジ・ユーロによるコラボレーション。個性的な二人の感性が融合された傑作で、ボクは今でもこの12インチ・シングルに針を落とす。
ジャケットのアートワークは、元ファクトリー・レコードの専属デザイナーで、今やカリスマ的存在のグラフィック・デザイナー:ピーター・サヴィルと、1960年代後半から70年代前半にかけてローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンなど著名なミュージシャンを精力的に撮影していたリンダ・マッカートニー。『AFTER A FASHION』の写真を撮っていた1983年は、ヴォーカル・キーボードで参加していたポール・マッカートニーのバンド『Wings』が1981年に活動を停止し、料理研究家として本を出版する1987年までの間で、特に目立った活動はしていない。一方、1983年のピーター・サヴィルは、ニューオーダーの『ブルー・マンデー』や『権力の美学』、ロキシー・ミュージックのライヴ・ミニ・アルバム『The High Road』など多くの作品を手掛けている。
ピーター・サヴィルは1982年にヴィサージの『The Anvil』やウルトラヴォックスの『Quartet』に携わっているので、この流れで『AFTER A FASHION』のデザインも手掛けていると思われるが、リンダ・マッカートニーの写真が加わると、これらの作品よりも気品が感じられる。
エジプトで撮影されたプロモーション用ビデオも音と映像のマッチングが素晴らしい。
- デザイン
- Peter Saville
Peter Saville (designer) – Wikipedia
ピーター・サヴィル – Wikipedia
- フォトグラフ
- Linda McCartney
Linda McCartney – Wikipedia
リンダ・マッカートニー – Wikipedia
- 参考サイト : Mick Karn
- Mick Karn
Mick Karn – Wikipedia
ミック・カーン – Wikipedia
- 参考サイト : Midge Ure
- Midge Ure
Midge Ure – Wikipedia
- 発表
- 1983年7月8日
久しぶりにロック雑誌を買った。目的は「黄金の1970年代 来日メモリアルフォト 2011年ロックカレンダー」が欲しかったからである。
デビッド・ボウイ、トッド・ラングレン、エリック・クラプトン、ライ・クーダー、ジェフ・ベック。筆者の好きなミュージシャンが並んでいる。どの写真からも音楽が聴こえてきそうで素晴らしい。1970年代、日本では野口五郎、郷ひろみ、西城秀樹、桜田淳子、山口百恵、森晶子、ピンクレディーなどアイドルたちが黄金時代を築いていた。ロック界では、プログレやグラムロックなどロックの多様化が進み、後にパンクロックを迎える。この雑誌114ページには同じ生井さんの写真・文によるジョン・ライドンの記事もあるので、あわせてご覧いただきたい。氏のロックに対する造形の深さが堪能できるはずだ。
各写真に寄せられたコメントも印象的でいい。カレンダーを眺めながら、2011年もLOVE&PEACEを心に秘めて活動したい、と思った。
- フォトグラファー
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- 参考サイト
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- 発表
- 2010年12月1日