アパレルで仕事をしていた当時、スタイル画のお手本にしようと思って購入した『マーカーで描くファッションイラストレーション』の著者でもある高村是州さんの本。これはアクセサリーのデザイン画のお手本用に買いました。
ファッションデザイナーも絵が上手いほうがいのだけど、そうでない人のほうが多いような気がする。そんな中で、『mistake? by OZWALD BOATENG』でデザイナーをしていた馬場康治さんは素晴らしく絵が上手かった。
学生時代、油絵がメインだったので、イラストが苦手なボクにとっては役に立った一冊。
- 公式サイト
- グラフィック社 書籍詳細
- 著者
- 高村 是州
- 出版社
- グラフィック社
- 発売日
- 1999年1月
中学生の時、初めて使ったカメラ「アサヒペンタックスSL」に付いていたレンズがM42マウントの「スーパータクマー28mmF3.5」でした。このレンズ、デジタル一眼レフカメラ「ペンタックスK-m」に取り付けて、今でも使っています。純正のアダプターで、デジタル一眼レフカメラでも古いレンズが利用できるペンタックス社に感謝です。
世界のM42マウントレンズ70本を紹介しているこの本には、各レンズについての実写作例や使用感、歴史的な背景などの解説が詳しく書かれており、読んでいくうちに使いたくなる良書。1948年から発売されているM42マウントレンズの魅力が満載されています。
個性的なM42マウントレンズのファンにとって必見の一冊。
- 公式サイト
- 世界のM42マウントレンズ
- 出版社
- 写真工業出版社
- 発売日
- 2008年7月
芸術とエロティシズムを語る上で、そしてクリエイティブとは何かを語る上で、欠かすことのできない重要な著作。
バタイユの作品を読み漁っていた1980年代には現代思潮社から1964年に刊行されたものしかなく、当時はCity Lightsから出ていた英訳本を辞書を片手に読んでいた。その後1995年に、トレヴィルから日本語訳(翻訳:樋口裕一)され、感無量の思いで予約購入した。そのような入手困難だったこの本が文庫本で出版されるなど、その当時は思ってもみなかった。
このバタイユの遺作は、彼のこれまでのエロティシズムに関する思想を集約したもので新鮮味に欠けるが、難解と言われる彼の書物としては読みやすく、図版が多く親しみやすい。ただ、そこに収められているグロテスクな幾つかの写真は、見るに堪えないものがある。そのうちの一枚、清朝中国の残虐な刑罰の写真は、アメリカのサックス奏者ジョン・ゾーンのアルバム『凌遅 LENG TCH’E』のジャケットカバーに採用されていて、バタイユの多方面にわたる影響力をうかがわせる。
先史時代から現代、ヨーロッパからアジアまで、縦横無尽に芸術とエロティシズムとについて語られているこの書物は、人間の創造力の源である「生」と「死」が数々の芸術と共演し作り上げられた奇跡的な一冊である。
- 公式サイト
- 筑摩書房 エロスの涙
- 著者
- ジョルジュ・バタイユ
- 翻訳
- 森本 和夫
- 出版社
- 筑摩書房
- 発売日
- 2001年4月
ファッションを遊戯として、そのエロティシズムや反逆性を、ロココ時代から今世紀初頭のアールデコまで、200点以上の図版を掲載しながら、19世紀と20世紀を中心にコスチューム、モード、ファッションの変遷について解説している。
「裸は反体制であり、反近代のスローガンとなる。それはまた、<自然に還れ>と叫ぶフランス革命期のフィロゾーフたちの主張とも一致した。」という一節にも表れているように、この書物の中には、「フランス革命」「世界大戦」など社会情勢に左右されるファッションの歴史が要所に言及されている。
多くのグラフィックやイラストを眺めているだけでも楽しいが、「ファッションは時限付きの革命遊戯」という言葉が印象的な熟読してもためになる一冊。
- 公式サイト
- ファッション画の歴史
- 著者
- 荒俣 宏
- 出版社
- 平凡社
- 発売日
- 1996年12月
造本装幀・雑誌ディレクション・CG・テレビ番組製作など多角的に活動しているグラフィックデザイナー戸田ツトムさんのデザイン論。戸田さんの作品にみられるように斬新でポストモダンな一冊。
1980年代の終わりごろ、印刷業界では手動写植から電算写植そしてDTPへと移行しつつあり、その後の「失われた10年」の時期で、DTP化が進み、写植に取って代わろうとしていた。そのような時代に戸田ツトムさんはデジタル技術をブックデザインに取り入れて、多くの素晴らしい作品を世に送り出していた。この本はコンピュータがまだ開発途上で未熟だった時期に、創作活動をしながら電子機器と戯れる様子が書くというより描かれている。
「奇妙な遠近法の空間が展開されてるモニター画面」「アイコンをポインターで操作するときの触感」など、今となっては当たり前のことで、疑問にも感じなくなった感覚が、この書物の中ではポストモダンな言説とともに開陳されている。
この著作はDTP黎明期のグラフィックデザイン界を知る重要な資料の一つである。
- 公式サイト
- デジタルデザイン、迷想の机上 – 戸田ツトム
- 著者
- 戸田 ツトム
- 出版社
- 日本経済新聞社
- 発売日
- 2001年5月
フランス文学者の山田 登世子さんによるファッション論。
ファッションにおいて「見せる」と「隠す」はよく取り上げられる話題の一つだと思う。そして、この「見せる・隠す」の機能は「性」と強く結びついている。このファッションと性の関係性を実際のデザイナーのコレクションと現代の思想を用いてわかりやすく述べられている感慨深い一冊。
「あらゆる意味での無内容こそモードの本質である。生真面目なものはみな内容のあるものだ。それに対してファッションは無内容だからこそ、それを愚弄することになるのである。そう、ファッションは無内容。それは、根っから≪空虚≫なものだ。ファッションは、すべて≪深さ≫というものを欠いている。」という一節は特に興味深い示唆で、ファッションの本質がここにあることをあらためて確認させられた。
- 公式サイト
- ファッションの技法 山田登世子 講談社
- 著者
- 山田 登世子
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1997年9月
今注目のアートディレクター、佐藤可士和さんによるアイデアを出すためのノウハウ本。
アートディレクションに限らず、いい仕事をするうえで整理をすることは重要だと思う。この本はそのことを柔らかい語り口で、丁寧に、そして饒舌に綴られている。
この本は街中で目にする佐藤可士和さんのお仕事のように、解りやすく、新鮮で、的を得た一冊。
- 公式サイト
- 佐藤可士和の超整理術
- 著者
- 佐藤 可士和
- 出版社
- 日本経済新聞出版社
- 発売日
- 2007年9月
グラフィックデザイナーの原研哉さんがこの書物にコラムを書いている。「写真というものは、放っておけばなに気ないものを、あたかも何かであるかのように写しとどめることによって、そこに美味なる意味が隠されているのではないかという誘いを、人の意識にやんわりと、しかし執拗に投げかけてくる装置である。だから僕らはさほど楽しくないと知りつつもそれにとりつかれ、見入らされ、揺さぶられ、はまり込むのである。」
フィルムからデジタルへほぼ移行した写真業界。原研哉さんが「楽しくない」と言った写真も、デジタルへ移る前と後では、その位置付けも変わりつつあり、今はその過渡期だと思う。そんな歴史の変遷を横目で見つつ、写真の息苦しさを楽しむための一冊。
- 編集
- リテレール編集部
- 出版社
- メタローグ
- 発売日
- 1997年12月
メーカー3社[写研・リョービ・モリサワ]の汎用性のある写植書体を同一テキストに・フォーマットで紹介している。
写研の石井明朝やゴナE、ロゴライン、そしてスーボなど昔よく使っていたフォントが懐かしい。今では昔ほど見る回数は減ったけど、記憶が曖昧な知識を再確認するとき、たまに開ける一冊。
- 公式サイト
- 写植総合見本帳 vol.10
- 編集
- 組版工学研究会
- 出版社
- 朗文堂
- 発売日
- 1985年7月
美術の教科書にも掲載されてる、有名なラスコー壁画。彼はこの著作の中でラスコ-の壁画を労働という有用な活動と結び付いた芸術の誕生の証拠として取り上げ、これらの絵の中に「動物たちを愛しながら、殺した」という先史人たちの心理を、彼独自の思想で展開している。
遊びと労働、その間に挟まれている芸術…という議論はバタイユにまかせるとして、グラフィック・デザインの役割であるヴィジュアル・コミュニケーションの視点から、この壁画を見ると面白いと思う。アンリ・ブルイユ神父みたいに「この壁画が呪術的意図(有益な活動としての芸術活動)を表わしている」としても、バタイユの言うように「ラスコ-の壁画を遊びの証拠」と見るとしても、先史人たちはヴィジュアル表現で視覚伝達していたことには変わりない。
経済や政治、教育が大きく変わろうとしている2010年。デザインやアートを社会の中でどうかかわらせていくか。、ビジュアルコミュニケーションの原点を見詰め直すうえで重要な一冊。
- 公式サイト
- ジョルジュ・バタイユ著作集 ラスコーの壁画
- 著者
- ジョルジュ・バタイユ
- 翻訳
- 出口 裕弘
- 出版社
- 二見書房
- 発売日
- 1975年1月